概要
意図的な時代錯誤。
スクロールする世界で、彼は立ち止まる。叫ぶ世界で、彼は囁く。
六歳から写真を撮り続けている。フィルム、デジタル、トイカメラ、伝説のカメラ——百台以上のカメラが彼の手を通り過ぎた。四十四年間、光を捉え続けてきた。
俳句を詠むように写真を撮る——本質だけが残るまで削ぎ落とす。彼の写真は物語を語らない。瞬間を止める。濡れたアスファルトの反射。消えゆくシルエット。影の粒子。
彼についてはあまり知られていない。街がまだ影に属する時間にパリを歩く。写真は控えめに撮る——週に数枚、時にはそれ以下。俳句を書き、水に葉を置くように写真に添える。
光を追いかけない。光を待つ。